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みかんの機能性
第2回
ミカンと血液中のβ‐クリプトキサンチンの関係

 食品と健康の関わりを調べるために細胞や動物を使った実験が行われていますが、これらの結果を人にそのまま適用できるとは限りません。そこで、人が摂取した食品と健康の関わりが調べられています。

 一日に飲むお茶の杯数、果物の摂取量とガンとの関係の研究が特に有名で、示唆に富む結果が報告されています。しかし、お茶の杯数、果物の摂取量などの記憶は確たるものではありませんので、これらの研究にはどうしても不確かさがつきまといます。もし、人の血液や尿の成分を分析することで摂取した食品の種類や量が正確に判ると、精度の高い研究が可能になります。このような指標となる成分をバイオマーカー(身体内の生物学的変化を定量的に把握するための指標)といいます。

 杉浦先生((独)農研機構果樹研究所)はミカン摂取のバイオマーカーとして、β-クリプトキサンチンに注目しました。β-クリプトキサンチンは、ミカンに含まれるだいだい色の色素で、カロテノイド(天然に広く存在する色素で野菜・果物に多く含まれている)の一種です。研究の結果、次のような理由で血液中のβ-クリプトキサンチン濃度はミカン摂取のバイオマーカーとして有効であることが判りました(下図参照)。


@ ミカンを食べる人ほど血液中のβ-クリプトキサンチン含量が高くなります。
A β-クリプトキサンチンは柿やビワなどにも含まれていますが、一般にはミカンに比べると摂取量や頻度が少ないので、血液中のβ-クリプトキサンチン含量にほとんど影響しません。
B β-クリプトキサンチンは脂溶性なので、ある程度長期間体内に蓄積されます(すぐに体内で分解されたり、排泄されたりする成分はバイオマーカーとして使うことができません)。


1:殆ど食べない
2:2,3個/週
3:1〜3個/週
4:4個以上/日

(静岡県在住の健康で非喫煙の女性94名の協力による)


 β-クリプトキサンチンは発ガン抑制作用や骨粗しょう症抑制作用などにより、現在注目を集めている成分ですが、一方で、このようにミカン摂取のバイオマーカーとしても有用なのです。
 今後、ご紹介する杉浦先生の三ケ日町研究(ミカン摂取と健康機能性に関する疫学研究)は、この研究結果に基づいて行われています。

 


Sugiura M, Kato M, Matsumoto H, Nagao A, Yano M. Serum concentration of β-cryptoxanthin in Japan reflects the frequency of Satsuma mandarin (Citrus unshiu Marc.) consumption. J Health Sci 48: 350-353 (2002)

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