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みかんの機能性
第6回
ミカンは骨粗しょう症を防ぐ?

 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点の杉浦実先生によるミカン摂取と骨密度(単位当たりの骨に含まれるカルシウムなどのミネラル量)との関連に関する調査研究結果についてご紹介します。

 骨粗しょう症とは、骨量(骨に含まれるカルシウムなどのミネラル量)の減少と骨の内部構造や質の変化により、骨折しやすくなる病気です。我が国では約1,000万人の患者がいると言われており、特に女性の場合、50〜60歳代に発症率が高くなります(図1)。骨粗しょう症は、人口の高齢化により更に増える傾向にあり、その対策の重要性が指摘されています。 


骨粗しょう症発症率骨密度

 本研究では、静岡県三ヶ日町(国内有数のミカン産地)住民699名の協力を得て、血中のβ-クリプトキサンチン含量と骨密度(低エネルギー2重X線法による、骨密度の単位はg/cm2)などが測定されました。その結果、閉経女性では血中β-クリプトキサンチンレベル第2回の「ミカンと血液中のβ-クリプトキサンチンの関係」を参照下さい)が高い人(みかんをたくさん食べる人)ほど骨密度が高いことが見いだされました。図2に示しましたように、閉経後女性の血中β-クリプトキサンチンレベルの高い人は低い人に比べて骨密度が低値になるリスクが半分以下という結果でした。このことから、β-クリプトキサンチンの豊富なミカンの摂取は高齢化に伴う女性の骨量低下を防ぐ可能性が示されました。





骨粗しょう症
 骨量は成長とともに増加し30歳代までに最大骨量に達します。その後、加齢により減少しますが、特に女性では閉経をむかえる40〜50歳代に急激な骨量の減少がみられます(閉経により、女性ホルモンの一つで骨吸収を抑える働きのあるエストロゲンの分泌が大幅に低下することが大きな要因です)。骨は人間の身体を支える支柱としての役割を果たすだけでなく、人の体内でカルシウムの貯蔵庫としての役割も果たしています。このため骨は成長期以降も常に骨吸収(骨が破壊され、血中にカルシウムイオンが放出されること)と骨形成(新たな骨が産生されること)を繰り返しており、骨吸収と骨形成のバランスがとれている場合には骨量は維持されますが、骨吸収量に見合う骨形成が行われない場合には骨量は減少してしまいます。このような骨量の減少により、骨の健康が損なわれることを骨粗しょう症といいます。
 




Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y, Ando F, Yano M. Bone mineral density in post-menopausal female subjects is associated with serum antioxidant carotenoids. Osteoporos Int 19: 211-219(2008)

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